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新緑の歯車

新緑の歯車

黒の影・狂気

ククク...

クククク...

そんな声が不意に聞こえた。

ここは某電気屋。
俺は今、自宅にあるPCに繋ぐ為の外付けHDDを買いに来ていた。

いろいろ物色していると、不意にそんな深い音色のような声が聞こえた。
        
俺の名前は(      )。

平々凡々の高校を目指す受験生。
日に日に悩みは絶えないが、それなりに楽しんで生きている。

しかし、そんな平凡な日常が

俺はいかに大事かを

そして楽しいかを知った気がした。





本日、5月10日。

夜。
なんとなくコンビニに出向いた。

俺は少し駆け足で坂を駆け下りる。

その時

黒い影が後ろにつく
無意識にその影に気付き、背筋が凍る。

《お前は呪われている》
深い深い黒、闇に染まったような声が聞こえる

振り向きたくない振り向きたくない
けれど体が勝手に動く
視線が死線が彷徨い
足が根のようになり
体が自分のものじゃないみたいだ。

そして俺は振り向く
黒い...黒い...
漆黒の服を着た
男の方へと。










《ようこそ、この"黒"の世界へ》

ここは黒の世界と呼ばれる現実と同じ場所にある世界。
ここは現実であって現実でない。
そしてこの世界は
俺が居た、否、存在した世界とは違った。
人が人でなく
獣が獣でなく
土が土でなく
空が空でなく
なにもかもが黒く
そして
ただ
この世界に存在していたのは

黒のあやかしだけだった。







俺はあの黒い男を見た瞬間
深い深い、闇の声が聞こえた
そしてその瞬間
俺はこの世界へと引きずり込まれた。

俺が今いる世界。
ここに着いた時
目の前には
漆黒のノート、一冊と
同じく漆黒のナイフが数本と
漆黒の禍々しい、、しかし漆黒なのに神々しい、一振りの大鎌だった。

俺は無意識にその全てに手を掛け、
ナイフをベルトに挟み
ノートを左手に持ち
鎌を右肩に背負い
歩き始めた。


これからある
楽しい楽しい
狂気の世界へと踏み出す為に。


今日は5月11日...だと思う。

俺の目の前には
黒い、一匹の生物とも言えぬ、生物が居た。
俺は無意識にナイフを抜き取り
その相手にめがけ投げつける

相手にナイフがブスリと刺さり
黒い体液が流れ出る

ノートを投げ捨て
俺は鎌を両手で握る

刃を水平にし、
そのまま相手へと突進する

相手の下へ潜り込み
右へ体を捻る

遠心力の力を利用し
敵の体を水平に切り裂き、引き裂く。

切った感触は
なんともいえない。
料理で肉を切るときのような快感と
全てから見下されたような不快感と

そしてなにより

俺は無意識に

人を殺したという意識があった。

なぜかこの世界は
とても居心地が良い

こんな狂った世界だからこそ
俺は多分自分の本性が出ているのだと思う

普通の世界で殺人は犯罪だ
しかしこの世界では?
殺人はただ蟻を殺すようなもので
ただの快楽にしか数えられない

だからこそ俺はこの世界を気に入った

この狂った世界を






俺は鎌で切り裂いた相手からナイフを抜き取り
服で体液を拭い
腰に戻す。

鎌は2.3度大きく振ると
体液が流れ落ち
きれいになった。





5月13日

俺は壊れた
そう確信出来た

不意に訪れた終わり
俺は無残に殺された

何十、何百と言う化け物に
俺は身を切り裂かれ
喰われた

なぜ意識がある?
なぜ感覚がある?
俺はただ感じていた

これは多分地獄なんだと

俺は多分死んだんだ
現実で
現で
そして幻ですらも







俺はベッドの上で目が覚めた
時刻はもうすぐ昼の12時を指そうとしていた

カレンダーを見る。
俺は習慣として、終わった日にちには×をつける
それはどんなに疲れようと
どんなに眠かろうと
意識すらなかろうと

書き込んでいた。

そしてカレンダーを見る

日付は


5月11日を指していた。




<あとがき>

即席です。
まー、夢で狂気に囚われた人とでも思ってくださいヘ(゚∀゚ヘ)アヒャ




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